こんにちは!
ネコのとうふです。
突然ですが、人間のみなさんに質問です。
人間とほかの動物を分ける徹底的な違いは何でしょうか?
多くのひとは「人間は頭がいい」と答えるかもしれません。
たしかに、その通りなのですが、「頭がいい」とはなにをもってそう言えるのでしょうか。
今回紹介する『サピエンス全史』という本では、その疑問に対する一つの答えがわかりやすい言葉でつづられています。
全人類に読んでほしい歴史の教科書
世界的なベストセラーとなったユヴァル・ノア・ハラリの著書『サピエンス全史 文明と構造と人類の幸福』は2011年に出版されました。
人類の誕生から現在までの道のりを優れた論理性と洞察力をもって表現するこの本は、全人類必読の歴史の教科書とも言えるでしょう。
著者によると、人類のこれまでの歴史は3つの革命によって形作られてきました。3つの革命とは、「認知革命」「農業革命」「科学革命」のことですが、今回は1つ目の「認知革命」に絞って紹介していきます。
認知革命とは
認知革命は約7万年前の人類に起こった変化のことを指します。
そしてこの革命によって人類が得たものは、架空の物語をつくり、それを共有する能力です。
つまり、人類は、想像力と言語を使って、「そこには存在しない」新たな可能性や選択肢を作り、それを広めることができるということです。この能力こそがヒトと他の動物を分ける、人間特有の能力だと著者は説明しています。
それまでの人類や他の動物は、基本的に「そこにあるもの」しか見ることができませんでした。
生命の生存にとって最も重要な食べ物や住処、繁殖相手は「そこにあるもの」でない限り全く意味はありませんよね。
ある意味この能力は、私たち生物の生存にそれまで必要とされなっかったのでしょう。
しかし、人類が認知革命によって手に入れた新たな能力は、人類が協力し大きな規模の集団で行動するということを可能にしました。
たとえば、普段私たちが使うお金も人間の想像力によって生まれた、仮想のものに過ぎません。
千円札や一万円札は、色々なものと交換ができて便利ですが、紙幣はその価値を信じる人がいなければ、ただの紙切れも同然です。
いわゆる“文明社会“から離れて暮らす部族の人に一万円札を渡しても、火を燃やすのに使われるだけでしょう。なぜなら、彼らは一万円札に価値があるという「架空の物語」を信じていないからです。
架空の物語とは?
その他にも、実は存在していないのに、多くの人が信じるものはたくさん存在します。
たとえば、宗教や会社、国などの集合体には、実体が存在するのでしょうか。
A社という名前の会社があったとします。
A社の社長は、Bさんです。
もし、事故か何かでBさんが死亡してしまったとしても、A社はなくなりません。
どの重役や従業員が辞めても、提供するサービスの内容が変わったとしてもA社は存続し続けます。
それでは、A社をA社たらしめているもの、つまり、A社が存在するという根拠はどこにあるのでしょうか。
A社が存在する理由は、お金と同様に、それを信じる人たちがいるからです。
あなたが働いている会社も、あなたが住んでいる国も、それを信じる人がいるから存在し続けているのです。
ではなぜ、人間はそれまでどの動物も必要としなかった「架空の物語」を必要としたのでしょうか。
その理由は、人間が集団で暮らす上で、より多くの人数が団結・協力する必要があったからだと著者は説明しています。
多くの人を突き動かし、一致団結させるもの、それはなんでしょう。
それは仮想(未来)のストーリーではないでしょうか。
仕事でも趣味でも、私たちが協力し、一生懸命頑張るのは、その頑張りによって良くなった未来を想像しているからです。
つまり、「頑張ってXをすれば、Yという未来がやってくる」というストーリーを頭の中で作り上げてほとんどの人は行動しています。
あなたがするほとんどの行為も、あなたが作り上げたストーリーによって裏づけされているのです。
たとえば、「お金持ちになれば幸せになれる」という架空のストーリーは非常に多くの人々を突き動かしています。
しかし、当然ですが、お金持ちになった全ての人が幸せになれるというわけではありません。
実際に、お金はたくさんあるが、精神的な不満を抱えているという人は少なくありません。
つまり、誰にでも当てはまる絶対的なストーリーは存在しないのです。
あなたとあなたの友人が同じ本を読んだとしても、2人の感想は全く別のものであるはずです。
少なくとも、感想の内容が全く同じということはありません。
私たちは、自分の視点というフィルター(ストーリー)を通して常に物事を見ています。
ストーリーは必要か?
もちろん、人間ではない私のようなネコにとっては、ストーリーは必要ありません。
なぜなら、私たちは「いま起こっていない架空のストーリー」を信じるつもりも必要もないからです。
反対に、人間たちは仮想の世界で生き続けます。
「お金があれば幸せになれるのに」、「彼女/彼氏がいたら幸せになれるのに」と、人間は言います。
そして自らの現状を嘆いているひとをよく見かけます。
しかし、あなたが比べているのは「あなたの理想」と「現実」です!
そりゃあ一見、理想のほうがいいですよねー。
けど、その理想と現実を比べると、現実の悪いところばかりしか見えなくなります。
また、誰もが現実でしか生きれません。
人間は「想像力」に特化した生き物だとも言えます。
それゆえに人間の多くは、自分の想像が、想像の産物であることを理解できていません。
自分の理想に自分が苦しめられているということを知らないのです。
たとえば、ぼくの知っているひとで、渋滞に巻き込まれるとイライラするという人がいます。
実はそのひとは、渋滞があるからイライラしているのではありません。
「渋滞という現実」と「自分がスムーズに運転しているという理想」を比べるからイライラしているのです。
このように、「認知革命」によって人間は、ほかの動物にない強力な能力を得ました。
しかし、今回の例のようにそれが必ずしも良い方向に向かったとは限りません。
皆さん、気を付けて使ってください!
認知革命についてもっと詳しく知りたい!
サピエンス全史に興味がわいた!
というひとはぜひこの本を手に取ってみてください。
人類全体や、自分自身を見る目がかわる、最強の歴史書籍です!
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